ようやく…。
この日を一体何年待ったことか。31年ごしにアルスラーン戦記が完結した。
2017/12/15、最終16巻『天涯無限』発売!
まさか完結するとは思っていなかった。
だって「田中芳樹」だから。
作品を未完のまま放り投げる事で有名な、あの「田中芳樹」だから。
新刊が出るまで長い時間が経ってるせいで、もう前の話(特に第二部)を忘れちゃってて、既刊をまた読み直さなきゃならない、あの「田(ry)
…という訳で今回は、31年ごしで完結したアルスラーン戦記最終巻、16巻『天涯無限』のレビューを行います。
完結までのあらすじはもちろん、キャラクターの死亡シーンや感想、その他もろもろ全てのネタバレをガンガンしていくので、それでもOKな人のみ↓↓へスクロールしてください!
※「◯◯(キャラ名) 死亡」または「◯◯(キャラ名) 最後」で検索している人がかなり多いため、そのキャラが最後どうなったか、アルスラーン戦記に登場した主要キャラクターの最後のシーン(死亡理由)を、下の方にまとめてあります。
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★アルスラーン戦記全16巻完全レビュー
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★アルスラーン戦記01巻『王都炎上』
★アルスラーン戦記02巻『王子二人』
★アルスラーン戦記03巻『落日悲歌』
★アルスラーン戦記04巻『汗血公路』
★アルスラーン戦記05巻『征馬孤影』
★アルスラーン戦記06巻『風塵乱舞』
★アルスラーン戦記07巻『王都奪還』
★アルスラーン戦記08巻『仮面兵団』
★アルスラーン戦記09巻『旌旗流転』
★アルスラーン戦記10巻『妖雲群行』
★アルスラーン戦記11巻『魔軍襲来』
★アルスラーン戦記12巻『暗黒神殿』
★アルスラーン戦記13巻『蛇王再臨』
★アルスラーン戦記14巻『天鳴地動』
★アルスラーン戦記15巻『戦旗不倒』
★アルスラーン戦記16巻『天涯無限』
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【ネタバレあり】アルスラーン戦記最終16巻『天涯無限』レビュー【小説/完結/田中芳樹】
第16巻『天涯無限』 2017年
第一章 使者と死者
蛇王ザッハークとの最終決戦を控え、キシュワードの妻子・トゥースの妻だったパトナ&クーラ&ユーリンの三姉妹・パリザード・オフルールなどの身近な女性たちを、シンドゥラ国へ逃がす事にしたアルスラーン。捕虜にしていたバリパダも一緒に護送していたが、隙をつかれて逃げ出されてしまう。特使兼護衛として一行を指揮していたジャスワントがこれを倒すも重傷を負い…。シンドゥラ国王ラジェンドラとの謁見において任務を果たした後、死亡。
あれだけアルスラーンに懐いて身辺から離れなかったジャスワントが、最終決戦どころか戦場ですらない場面で死ぬとは…。てっきりアルスラーンを庇って戦死すると思っていたのに。16翼将が、残り9人に。
一方、アンドラゴラス三世を依り代としている蛇王ザッハークは、その姿を利用して反アルスラーン連合をまとめ上げる。地方の領主カーゼルンらに集めさせた兵力は、最終的に約80,000名!
パルス国内にまだそれだけの兵力が居たんかい…。反アルスラーンなのは仕方ないにしても、ルシタニアと戦う時くらい助太刀に来いよ~。自分の国の一大事なのに。
地方にはまだまだ健在な領主たちが居て兵力もある様な描写だったけど、アンドラゴラス三世が指揮を執ってた時もこいつらが参集してないのは不思議だなぁ…。アンドラゴラス三世ですら、パルス全土を掌握出来ていなかったという事か。。
兵力分散の愚を犯さぬよう、ザーブル城を棄てエクバターナに戻ったアルスラーン一行。アルフリードを殺した主犯であるブルハーンを何故かすぐ処刑せず、決闘での決着を言い渡す。相手は当然アルフリードの兄であるメルレイン。…なのだが、足の腱が切られているブルハーンと同条件で戦いたいとメルレインが言い出して、自分の足に鉄球をつける…。
怖い怖い。フラグかと思った。普通に勝ってくれて一安心。ここら辺のアルスラーンの甘さがね~。その甘さ故にナルサス&アルフリードが死ぬ事になったんだけど、でも、その優しさ故に人心がついてくる…と。善し悪しだね。。
第二章 表と裏の戦い
エクバターナまで侵攻してきたチュルク軍と、迎え撃つパルス軍との戦い。イルテリシュが陣頭指揮をとっていない為、パルス軍が余裕の勝利。ダリューン・クバード・ギーヴらはいつも通りの大活躍。イスファーン・パラフーダの活躍も目立っていた。
パルスは16翼将が優秀過ぎるから、普通の軍隊相手だとこうなるよね(笑)
でも、魔軍相手だと…。無双出来るのも、この戦いが最後かな…。
7人居た魔導士の最後の生き残りグルガーンが、戦闘のどさくさに紛れて王宮へ侵入。たまたま見つけた宰相(フラマータール)ルーシャンを暗殺。駆け付けたファランギースにも襲い掛かるが、エラムの矢によって射殺される。
これで尊師の弟子たちは全滅。大した活躍はしなかった連中だけど、文官として得がたい能力と人望を持っていたルーシャンを殺されたのは、パルスにとって地味に痛い。
ザーブル城に拠点を構えている新マルヤム軍を、メルレイン率いるゾット族が夜襲。火を放ち混乱させる。火が苦手なヒルメスはいち早く逃げ出した為、新マルヤム軍は数で勝るものの押され気味。更にファランギース&パラフーダが増援にきた上、そのファランギース&メルレインの矢によってギスカールが戦死。これにより新マルヤム軍は瓦解し、本国への撤退を約束。
新マルヤム軍がここで脱落。アッサリ退場しちゃったけど、ギスカールは優秀なキャラクターだったなぁ。ルシタニアは大嫌いだったが、こいつ自体は嫌いじゃなかった。弱兵な上にロクな武将が居ないルシタニア軍や新マルヤム軍を率いて、ここまでよく戦ったよ。。ボードワンとモンフェラートが生きていれば、だいぶ苦労が減っただろうに。
第三章 逆賊たち
カーゼルンの領地へ、ギーヴが単独偵察。蛇王ザッハークがアンドラゴラス三世を依り代としている事を突き止め、情報を持ち帰る。そして、蛇王ザッハーク一党がエクバターナへ侵攻。ここでタハミーネ&レイラが、蛇王ザッハークによって殺される。
タハミーネ、久々に出てきたと思ったら3ページで退場。レイラはグロシーン付き。
カーゼルンを倒したダリューンが、ヒルメスの気配を感知。
フィトナと再会しミスル軍と合流したヒルメスは、ミスル軍本体に先駆けパルス領内へ先発していたが、ギーヴとの問答の末、エクバターナへ迫っていたのだった…。
タハミーネも魔性の女だったけど、若い分フィトナの方が更に魔性度合いが高い。良い女は男を狂わせる。
戦場の混乱の中、パラフーダが蛇王ザッハークと対峙。しかし、、力の差は歴然。ザッハークの右肩に生えている蛇の頭に矢を当てるも、実質ザッハークは無傷。ファランギースに看取られながら戦死。続いて、双刀将軍(ターヒール)キシュワードがザッハークと対峙。一撃を受け止めただけで剣が1本折れてしまい、単刀将軍(カムヒール)に…。
パラフーダが何故16翼将に入っているのかが、未だによく分からない。色々な国の人間を入れたかったのかな?当初よりは強くなったけど、わざわざ16翼将に数える程ではないよなぁ。仲間になるのも一人だけかなり遅かったし。。
そして、キシュワードが死にそう…。
第四章 惨戦
もう1本の剣も無くなり絶体絶命のキシュワード…。ザッハークから無刀将軍(バラヒール)と嘲笑されるも、ファランギースに助けられ何とか撤退に成功。
蛇王ザッハークは、もはや自然災害みたいなもんだね。人間の力では勝てない強さ。
ヒルメスと問答したギーヴが、ミスル軍の本体を発見。フィトナを矢で射殺し、たった3本の矢でミスル軍を撤退させる。
さっきから、というか全編通してなんだけど、ギーヴ活躍しすぎ(笑)
ある意味ダリューンより凄いよ。武人じゃなくて旅の楽士なのに。
キャラクター的に動かしやすいんだろうね。
新マルヤム軍とミスル軍が脱落した事によって、残る勢力は3つ。
①アルスラーン率いるパルス軍
②蛇王ザッハーク&尊師&イルテリシュ率いる魔軍&反アルスラーン軍&チュルク軍
③単体で動いているヒルメス
大分片付いてきたなぁ。
ほらふきクバードとイルテリシュの、久々の対決。この二人はほぼ互角の強さ故、五十合以上剣を交えるも決着はつかず。自軍立て直しのために、この日はイルテリシュが一旦撤退。翌日もパルス軍対ザッハーク軍の戦いが続いていて、イスファーンが八面六臂の大活躍。
この二人もそろそろだな…と感じさせる描写。クバードとイルテリシュは本来クバードの方が強いんだけど、イルテリシュは魔の力でドーピングしてる。
クバードとイルテリシュ、最後の戦い。。お互いの剣が相手の右目を切り裂き、元々隻眼だったクバードは目が見えなくなってしまうが、機転を利かせ見事相打ちに。クバード…戦死。
負けはあり得ないから、勝つか相打ちかどちらかなのは分かっていたが…クバードは生き残ってほしかったな。良いキャラクターしてた。
戦場に現れた尊師を発見したイスファーン。暗灰色の衣で上半身を包まれ…何と、イスファーン戦死。
対峙から死までわずか数行。何も出来ず、あっという間に毒針で殺されてしまった。唸っただけで最後のセリフも無し…。
イスファーンの飼い犬である土星(カイヴァーン)の鳴き声によってイスファーンの死を知ったアルスラーンとエラムが現場へ急行。アズライール(告死天使)らの助けを借り、宝剣ルクナバードを抜いたアルスラーンが尊師を討ち取る。
いやいや、戦場の真っ只中にアルスラーンがのこのこ出向いたら駄目だろ。。危険すぎる。
メルレインが蛇王ザッハークを発見。ゾットの黒旗を自分の背へ差し込み、ゾット族の魂を背負って戦うメルレイン。二十合以上渡り合うも、黒旗ごと首を両断され、壮絶な戦死。続いて、銀仮面ヒルメスと蛇王ザッハークが対峙したが、ヒルメスが悲鳴を上げて逃げ出すという醜態を見せる。
メルレインの男らしさに比べ、ヒルメスの情けなさったらない(苦笑)
「うわああっ…!」「く、来るな、来るなあ!」「逃げろ、逃げろお」あのヒルメスがこんな台詞を言うとは…もはや別人。
蛇王ザッハークという名の災厄は更に血を求めて彷徨い、続いてはキシュワードと対決。三十合以上渡り合い、両肩の蛇を2匹とも切り飛ばすという意地を見せたが、最後は両手首を一度に両断され、腹部を切り裂かれて…双刀将軍キシュワード戦死。
キシュワードの最後の戦いも1ページ未満で終了してしまった。短いなぁ。クバードとキシュワードはどちらか生き残ると思ってたのに、どちらも死ぬとはね…。クバードは最後までキャラを守り通したけど、キシュワードは後半イマイチ活躍しなかった。
…そして、いよいよダリューンとヒルメスの一騎打ち。百合余の応酬の上、勝利をおさめたのは、ダリューン。長い間の仇敵であったヒルメスとの決着が、ようやくついた。
ここは勝ちしかない展開なので、実際的には消化試合というか儀式みたいなもの。やっとヒルメスが退場か~。ヒルメス一人の所為で、どれだけのパルス人が死んだことか…。第一部の最後で逃さずにきっちり殺しておけば、その後のアレやコレが起こらなかったし、ナルサス&アルフリードが殺される事も無かったのに…。
しかも、ついさっき悲鳴を上げてザッハークから遁走した筈なのに、もういつもの偉そうなヒルメスに戻ってたところが何とも(苦笑) 最後はちょっとまぬけだった。
この日の戦いだけで、16翼将のうち4人が戦死。残るはダリューン・ギーヴ・ファランギース・エラムの4人のみとなった。
寂しくなったね…。あれだけ居たのにたった4人になっちゃった…。しかも、このメンバーって初期の仲間だから特別感がある。ナルサスが足りないけど。その辺りの事を作者も考えて、このメンバーを生き残らせたんだろうか…。
ところで、この戦い、前巻まではあんなに脅威だった魔物たちが、そこら辺の一般兵士同様、バッタバッタ倒されていく。しかも普通の有翼猿鬼(アフラ ヴィラーダ)・四眼犬(シエムル)・食屍鬼(グール)くらいしか出てこない。ジムサを殺した巨大有翼猿鬼とか、鳥面人妖(ガブル ネリーシャ)とか、空から石落とす戦法とか、全く出てこない。
…まあ、最終巻は片付けなきゃならない事柄が多いからだろうけど、最終決戦で急に魔軍が弱くなった感があってね…。
第五章 天涯無限
戦場に残った王者は、アルスラーンとザッハークのみ。最終決戦は明日に持ち越され、いったん互いの陣地に戻る両者。アルスラーン陣営では、生き残った5人で最後の酒宴が開かれた…。
何人かにとっては、末期の酒。しんみりする場面。
ただ、ここのそれぞれの陣営の脱走者に関する文章が明らかにおかしい。何行か抜けてるか、陣営の名前を間違えてるか…。いずれ増刷の時にでも修正されると思う。
東の地平線に黎明の光という名の1本の白刃があらわれる頃、両陣営は再び対峙した。蛇王ザッハークから、自分と魔物たちは昔の人間に「作られた」存在である事が明かされる。
この設定いきなりきたけど、別に要らなかったと思う。魔術や精霊のある世界だから、たとえ千年生きてても、そういう世界だからね、魔物だし。で終わらせられるのに。
更に、アンドラゴラス三世とタハミーネの子供は死産しており、パリザード・レイラ・フィトナの3人とも、結局タハミーネの娘ではなかった事が判明…。そして、いよいよ最終決戦の幕が切って落とされた。
銀の腕輪とかであれだけフラグ立てておいてこのオチは、片付け方が酷い…打ち切り漫画か(苦笑)
それぞれが死力を尽くして戦う中、黒衣の騎士ダリューンと蛇王ザッハークの一騎打ちが始まった。八十合以上渡り合うも、最強の人造人間として作られたザッハークにはダリューンすら敵わない…戦士のなかの戦士(マルダーンフ マルダーン)ダリューン、無念の戦死。
ダリューンは最後死ぬとは思ってたけど、いざその場面を見るとやっぱり悲しい。。
16翼将の生き残りであるギーヴ・ファランギース・エラムの3人がザッハークの前に立つが、それを止めたアルスラーンが宝剣ルクナバードを抜く。ザッハークとの三十合あまりの打ち合いの末、ザッハークの剣がアルスラーンの右胸に深々と刺さり、アルスラーンの宝剣ルクナバードは、ザッハークの脳天から腰までを一刀両断せしめた。
壮絶なる相打ちとなった両者。宝剣ルクナバードの後継者を探してほしい、そして、ダリューンと同じ墓に埋めてほしいという願いを述べ、解放王アルスラーン…戦死。享年19歳という若さであった。
アルスラーンも死ぬフラグがバンバン立ってたから、これはまあ…。もしアルスラーンがこの後も生きていれば、パルスは数十年安泰だったろうに…。
そして、エピローグ。
トゥラーン・チュルク・ミスル・マルヤム・ルシタニア・パルスの6ヶ国において国王が不在となり、小さい領地ごとにそれぞれの領主が縄張り争いを繰り広げ、その混乱をまとめる者もいない「大空位時代」「暗黒時代」が始まった。
もはや国としての体裁を全く保てなくなったパルスを後にし、ギーヴ・ファランギース・エラムの3人は唯一国王が健在なシンドゥラ国に渡り、ラジェンドラのもとで500人のパルス人と共に庇護を受けることに…。
パルスタンという自治地区にて生活していく中で、エラムはアイーシャと結婚。キシュワードの子アイヤールを皆で育てていた。しかし6年後、シンドゥラ軍の東方遠征に従軍したギーヴが蚊に刺された高熱がもとで死亡。その更に9年後、ファランギースも病に倒れ死亡。かつての16翼将は、エラムのみとなった。
ここら辺悲しすぎるんだけど…。こんな不幸にする必要ある??
あれだけ苦労して守ったパルスはアッサリ無くなっちゃうし、結局戦わずに上手いこと立ちまわったラジェンドラの一人勝ちだし…。
…それから数十年後。
かつての仲間で存命な者は一人もおらず、68歳となったエラム。成長したラジェンドラの子供が治めるシンドゥラから体よく追い出されてしまい、立派な武将へ成長した53歳のアイヤールと共に、パルス再統一のためペシャワールの地へ降り立つ。
宝剣ルクナバードの後継者を探すというアルスラーンの願いを未だ果たせていないエラムは、ふとアイヤールの息子であるロスタムに抜かせてみる事に。すると、宝剣ルクナバードは自らの意思で鞘から飛び出すかのように、勢いよく鞘走って月光にきらめいた。ようやくアルスラーンの遺志を継ぐ者を見つけたエラムは、ペシャワール城の攻略をアイヤールとロスタムに任せ、大きな満足感に浸りながら休んでいた。
…その時、大きな満月の光がエラムを包み、エラムの目の前に整然たる十数騎の隊列が現れた。そう、アルスラーンと16翼将である。一つだけ空いている鞍に跨ったエラムはいつの間にか少年の姿に戻っており、アルスラーンの「赴こうか」という言葉に元気よく答えたのであった…。
ペシャワール城を見事落としたアイヤールとロスタムが戻った時、エラムの姿はどこにもなかった…。
【完】
死ぬ時に昔の仲間たちが迎えに来て、仲間たちは昔の姿のまま。これからは死後の世界で一緒に冒険するよって演出は、非常にベタ。「銀河英雄伝説」でもあったし。
でも、これだけ長い間付き合った作品の、長い間付き合ったキャラクターたちにコレをやられると、結構グッとくるんだよね…(苦笑)
アルスラーン戦記は昔から大好きな作品だし。
「陳腐なのは多用されるからで、多用されるのは効果があるからだ」ってのを、これもやっぱり「銀河英雄伝説」で見た記憶がある(笑)
解放王頌歌 ギーヴ作
鷹となりて飛び去りしか わが君よ
河となりて流れ去りしか わが君よ
御身を歎く声は野を掩いてやまず
御身を哀しむ涙は砂漠をも潤せり
御身を喪ないて天は暗黒
御身を奪われて地は荒涼
エクバターナよ 栄華はいま何処
ひたすらに待つは 御身の帰れる日
カーヴェリー河の東に陽は昇り
ディジレ河の西に陽は落ちる
見ずや パルスの木 パルスの革 パルスの花
ことごとく御身を喪ないて枯れはてたるを
おお わが君よ 帰りたまえかし
御身の民の求めに応えたまえかし
惜しむべき佳きパルスの国を
など棄てたもうや わが国王よ
総括
一つの歴史が、終わった。
ここまで長かったなぁ…。
アルスラーン戦記が完結するとはねぇ…。
内容はともかく、終わってくれて良かった。それぞれのファンが長い年月待たされている未完の作品は世の中に山ほどあるから、兎にも角にも完結させたという1点は評価できる。ただ、最後の数巻は「終わらせるために仕方なく書いてる」感が強くて、作者の愛が全く感じられなかった。中国モノに傾倒してないで既存のシリーズもしっかりやってくれよ!という思いが正直なところ。
田中芳樹の筆力が明らかに落ちたとファンが感じ始めたのも、もう20年くらい前のお話。「銀河英雄伝説」やアルスラーン戦記の第一部を書いていた頃の、あの勢いがあって物語に引き込まれる筆力を今の田中芳樹には誰も求めてはいないけれど、でもせめて未完のまま放ってあるシリーズは全て完結させてほしいとは思っていて。。順番からいくと、次は「創竜伝」かな。。「灼熱の竜騎兵」「KLAN」「自転地球儀世界」は他人に放り投げた挙句あんな事になっちゃったし、自分の作品は自分で締めてほしい。
この16巻『天涯無限』を読むために1巻~15巻を全て読み返したけど、やっぱり第一部と第二部の間には、物語としての出来に大きな差があるんだよね。
全然面白さが違う。
正確に言うと、第一部の7巻までは最高に面白くて、9巻までならそこそこいける。けど、次の10巻刊行まで7年の空白期間があったのが痛い。筆力もそうだが、この7年で田中芳樹がアルスラーン戦記への情熱を全て蒸発させちゃったんじゃなかろうか。
あと、主要人物たちをアッサリ殺し過ぎでしょ…駆け足どころか全速力での大掃除。感慨も何もないし、最終巻での詰め込みがハンパない。あと2~3巻は出せた内容だけど、もう書きたくなかったんだろうな…。
「皆殺しの田中」という異名の中身には「必然性を持った殺し」という意味が昔は含まれてたのに、この殺し方だともう「皆殺しの田中」じゃなくて「皆殺しの富野」の方の意味になっちゃうんだよ。。
第一部の筆力で完結まで持っていってくれてれば、歴史ファンタジー小説として稀代の名作となったかもしれないのに…本当にもったいないと思う。
でも、大好きな作品である事は間違いない。
そして、第一部に比べて第二部は随分と失速したのは事実だけど、この最終巻は結構楽しめた。それはノスタルジックでウェットな気持ちが入っている故でもあるけど…不満も色々あるけど…でも楽しめた。
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アルスラーン戦記 主要キャラクターの最後のシーン(死亡理由)と巻数
「◯◯(キャラ名) 死亡」または「◯◯(キャラ名) 最後」で検索してきた人向け。
そのキャラが最後どうなったか、アルスラーン戦記主要キャラクターの最後のシーン(死亡理由)と死亡した巻数まとめ。
詳細なシーンを見たい場合は、各巻のレビューへ。
【アルスラーン&16翼将】
●アルスラーン・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。最終決戦において蛇王ザッハークと三十合あまりの打ち合いの末、相打ち。ダリューンと同じ墓に埋めてほしいという願いを述べ、19歳という若さで戦死。
●ダリューン・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。最終決戦において蛇王ザッハークに殺されて戦死。八十合以上渡り合うもザッハークには敵わず、アルスラーンに看取られながら息を引き取る。
●ナルサス・・・死亡したのは15巻『戦旗不倒』。本隊と不自然に離れたところをヒルメスに襲われ、アルフリードと共に戦死。書き残した書簡が最終巻で役に立つと思われたが、そんなことはなかった。
●エラム・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。16翼将最後の生き残りで、最終決戦を生き延び68歳まで生存。ロスタムが宝剣ルクナバードの後継者であることに満足を覚えながら天寿を全う。アルスラーンたちのもとへ旅立つ。
●ギーヴ・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。エラム・ファランギースと共に最終決戦を生き延びたが、6年後に蚊に刺された高熱がもとで病死。晩年は女遊びを一切せず、地味な生活だった。生い立ちや正体は最後まで謎のまま。
●ファランギース・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。ギーヴの死から9年後、病に倒れ病死。ギーヴと結ばれたかどうかは不明だが、ギーヴの死後は元気が無くなり隠居。静かな余生をおくっていた。
●アルフリード・・・死亡したのは15巻『戦旗不倒』。ナルサスと共にヒルメスらに襲われ戦死(殺したのはブルハーン)。死ぬ前にナルサスと結ばれることが叶い、最後も寄り添って逝く。天国で夫婦として過ごしている筈。
●メルレイン・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。ゾットの黒旗を自分の背へ差し込み、蛇王ザッハークと一騎打ち。二十合以上渡り合うも黒旗ごと首を両断。壮絶な戦死を遂げた。
●ジャスワント・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。最終決戦前に女・子供をシンドゥラへ逃がす際、捕虜のバリパダに深手を負わされ、かつての主君ラジェンドラとの謁見時に力尽きる。
●キシュワード・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。蛇王ザッハークと三十合以上刃を交わし両肩の蛇を2匹とも切り飛ばすも、両手首を一度に両断され腹部を切り裂かれて戦死。ダリューン・クバードに次ぐ強さだが、後半はあまり活躍せず。
●クバード・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。魔の力でドーピングしたイルテリシュと相打ちになり戦死。お互いの剣が相手の右目を切り裂き、元々隻眼だったクバードは目が見えなくなってしまうも、意地を見せる。
●トゥース・・・死亡したのは14巻『天鳴地動』。地震の際に崩れ落ちた瓦礫からアルスラーンを護り、事故死。エクバターナ城司としての職務を果たしたが、その最後はあまりにも呆気なかった。
●イスファーン・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。尊師に襲われ、暗灰色の衣に仕込んだ毒針で殺された。対峙から死までわずか数行。何も出来ず、台詞も無し。その前に見せ場があったことが救い。
●ザラーヴァント・・・死亡したのは13巻『蛇王再臨』。地下神殿調査中に片手が無い有翼猿鬼(ナーマルド)によって背後から襲われ、戦死。16翼将最初の死亡者となる。
●ジムサ・・・死亡したのは14巻『天鳴地動』。エクバターナへの帰途、襲ってきた魔軍の巨大有翼猿鬼(アフラ ヴィラーダ)と相打ちとなり、戦死。
●グラーゼ・・・死亡したのは14巻『天鳴地動』。魔軍がギランを襲ってきた際、有翼猿鬼(アフラ ヴィラーダ)によって鐘楼から落とされ、戦死。トゥース・グラーゼ・ジムサが死んでいくさまは圧巻のスピード。
●パラフーダ・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。蛇王ザッハークの右肩に生えている蛇に矢を当てるも、力の差は歴然。ザッハーク本人ではなく周りの一般兵士たちに殺され戦死。
【パルス】
●ヒルメス・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。ダリューンと百合余の一騎打ちの末、戦死。「うわああっ…!」「く、来るな、来るなあ!」「逃げろ、逃げろお」など最後はキャラ崩壊を起こし、晩節を汚す。
●アンドラゴラス・・・死亡したのは07巻『王都奪還』。宝剣ルクナバードを巡ってアルスラーンと一触即発のところ、イノケンティスと共に塔から落ち、墜落死。誰よりも強かった故に、戦場ではない場所で一番弱い王によって物語から退場させられた。
●タハミーネ・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。最終決戦前、蛇王ザッハークによって斬殺。久々に登場し、風のように退場。銀の腕輪を持ったパリザード・レイラ・フィトナの3人のうち誰かが実の娘だと思っていたが、それは気のせい。
【ルシタニア】
●ギスカール・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。ザーブル城において夜襲を受け、ファランギース&メルレインの矢によって戦死。ボードワン&モンフェラート以外に有能な部下がいなかった割に、よく頑張った。
●イノケンティス・・・死亡したのは07巻『王都奪還』。アンドラゴラスを羽交い締めにしたまま塔から墜落し、道連れに。史上最も惰弱な王、今まで何の役にも立たなかった王が、最後の最後で偉業を成し遂げる。
【魔軍】
●ザッハーク・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。アルスラーン(宝剣ルクナバード)によって脳天から腰までを一刀両断され、戦死。ザッハークが直接殺した16翼将はメルレイン・キシュワード・ダリューンの3人。実は人造人間。
●尊師・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。イスファーンを殺した直後、アズライール(告死天使)らの助けを借りたアルスラーン(宝剣ルクナバード)によって斬られ、戦死。初登場時は老人だったが、最後は若々しい青年の姿になっていた。
●イルテリシュ・・・死亡したのは16巻『天涯無限』。クバードと相打ちとなり、戦死。トクトミシュに対して謀反を起こしトゥラーン軍を掌握した頃が全盛期。そのあとは負けるか利用されるかの人生。
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★アルスラーン戦記11巻『魔軍襲来』
★アルスラーン戦記12巻『暗黒神殿』
★アルスラーン戦記13巻『蛇王再臨』
★アルスラーン戦記14巻『天鳴地動』
★アルスラーン戦記15巻『戦旗不倒』
★アルスラーン戦記16巻『天涯無限』